この3羽のカラスの絵は何年も前に、
小学生の男の子が何気なく描いたものです。
ここに、その子の日常が表れているのですが、
どんなふうに見えますか?
3羽は友だちで、楽しく遊んでいる
3羽は兄弟で、太陽に向かって競争している
大きいカラスはお父さんで、守ってくれている
どうですか?
お絵描きの後、いろいろ話してくれたのですが、、、
「お母さんが、毎日毎日いちいちうるさい」
「お母さんは、いつもいつも細かくチェックする」
「お姉ちゃんは、何でもちゃんとできる」
「お母さんは、ボクばっかり叱る」
ですって。
それを聞いてから、もう一度絵を見ると、
王様カラス(母親)が2匹(姉弟)を追いかけ回して、
一番小さいカラスは、逃げ場がなくなって
「助けてー」って叫んでいるみたいですね。
言葉にならないとき、子どもは絵や形で表します
子どもアート療法士としては、
男の子の苦しい気持ちや愚痴が、絵で吐き出されて良かったなと思います。
描かれた絵を、無理に読み解くことはしませんし、
「何か闇を抱えているんじゃないか」と偏ってみてしまうのも残念です。
黒の心理、赤の心理…など、色の傾向はありますが、
毎回全員にピッタリ当てはまることなんてないですよ。
「黒」で優しさを表すこともあれば、
「赤」に悲しみを出すこともあるからです。
色や形、線の強さ弱さ、その子の「普段」をよーく観ていれば、
身近な大人(親・家族)は、いつもと違うことに気づくことができます。
嬉しい気持ちも絵にでる
今回のカラスの絵では苦しい気持ちが出ましたが、
すごく嬉しいことがあったときもちゃんと絵に出ます。
例えば、
アイスクリームが美味しくて、自分の顔より大きくなったり、
友だちと手をつなぐのが嬉しくて、グローブみたいな手を描いたり…
アトリエでは、子どもの選んだ色や描いた形を静かにおもしろがって観察しています。
黒くても赤くても描いていれば大丈夫!
今日のアトリエでは、みんなの気持ちが色・形になったかな?!